転職すれば、人は誰しも新人です。
どれだけ自分に経験のある職種に就いたとしても、新たに勤める職場は、自分にとっては初めてのコミュニティになります。
これは同じ会社内で、仕事の違う別の部署に異動になった場合も、同じです。
自分の今までの働き方や、仕事の仕方をそのまま流用できれば楽なのですが、なかなかそうもいかないことのほうが多いでしょう。
新たな職場で働く人は、まぎれもない新人なのです。
「ふりだしからのスタート」になるのです。
しかし、転職や異動での「新人」は、学生からの新卒者の「新人」とは扱いが違うのが、厄介なところですよね。
特に前職と同じだったり、経験のある業種や職種に転職した場合、新たな職場はどうしても「即戦力」を期待している……ような気がしてしまいます。
……「ような気がして」と書いたのは、確かに職場側が即戦力を期待している、というのはあるでしょうが、それ以上に(つまり職場側以上に)、『自分は即戦力でなければ!』『仕事がすぐに出来なければ!』と、転職した人自身が、強く(そしてやがては重く)気負っている場合が、多く見られるからです。
即戦力になろうと頑張ることは、それ自体は、少しも悪いことではありません。
「なろう」と努力すれば、いずれ必ずその職場の戦力となっていけることでしょう。
そう、大切なのは『なろう』と思い、目の前の、今は与えられた仕事に励むことです。
『ならなければ!』
『出来なければ!』
こういった気負いが自分の中で大きくなってしまっていると、代わりに、一つの大切な感情を忘れていってしまいます。
それは、『素直さ』です。
仕事でわからないところを聞ける素直さ。
周囲から常に学ばせてもらおうと思える素直さ。
いま属している組織にある程度は合わせ、溶け込むための素直さ。
何でも「聞けばいいや~」と思っているのとは、もちろん違いますよね。
このような困った後輩を抱えたことのある人なら、なおさらわかることでしょうが、そういう気持ちは態度に出ます。
そうではなくて、まずは、自分で考える。
周囲の仕事ぶりを思い起こしたり、自分の仕事メモを見ても答えが見つからないのなら、そこはどんなに周りが聞きづらい状況(や、人物)であっても、あなたは教えてもらわなくてはなりません。
わからないまま勝手に進めて失敗する。
何より、これを避けるためです。
素直に学ぶ「新人」でいるということは、あなた自身のためであり、組織のためであり、仕事の効率そのもののために繋がってくるのです。
また、どのくらいの期間をもって、「自分は新人」と思っていいのか? という疑問もあるでしょう。
こればかりは、職種や仕事内容によってまちまちだとは思いますが、最低半年、私としては、一年経つまでは「自分はまだ新人だ」と認識していて良いんじゃないかと思っています。
自分が自信をもって仕事を進められるようになるまでは新人です。
そして周囲から自然に仕事を任せられるようになるまでは、わからないことがあったら、どんなに聞きづらくても、勇気を出して聞くのもまた仕事なのです。
素直に『学ぶ身』となることで、いつしか仕事の自信に繋がっていきます。
そうして、あなたはいずれ、その仕事になくてはならない人材となっていくことでしょう。